団地の押入れ、奥のほうに何が入っているか思い出せますか。
襖を開けても、目に入るのは手前に積んだものだけ。奥は暗くて手が届かず、いつの間にか開かずの空間になっています。都営住宅に越してきたばかりのころ、わが家もまったく同じ状態でした。奥から出てきたのは、子どもが小さいころに使っていたものと、自分の昔のものです。
けれど押入れが片づかないのは、片づけが苦手だからではありません。団地の押入れは奥行きが深く、そのままでは奥が使えない作りになっているからです。逆にいえば、構造に合った使い方さえ分かれば収納力は一気に上がります。
- 奥に何があるか分からない状態
- 手前に積むだけの収納
- 閉まりきらない襖
- 湿気とカビへの不安
- 何から手をつけるか迷う時間


この記事では、壁に穴を開けず、3,000円以内でできる押入れ収納のコツをまとめました。作業はすべて週末の2時間で終わる範囲に区切っています。
団地の押入れが使いにくい理由

押入れが使いにくいのは、片づけ方ではなく作りの問題です。団地の押入れは、洋室のクローゼットとは寸法も構造も違います。その違いを先に知っておくと、あとの作業で迷いません。
ここでは昭和40年代築の団地に共通する3つの特徴を見ていきます。どれも自分の家だけかもしれないと思われがちですが、同じ年代の建物ならほぼ共通しています。

奥行きの深さが生む死角
押入れは布団をしまう前提で作られているため、洋服用のクローゼットより奥行きがあります。わが家の押入れは幅180cm、奥行き80cm、高さ180cmほど。奥行き80cmは、腕を伸ばしても指先が届くかどうかの距離です。
手前に何か置いた時点で奥は見えなくなります。見えない場所にあるものは、持っていること自体を忘れます。奥に眠っているのは、いらないものではなく思い出せないものです。
中段で分断される上下の空間
押入れの真ん中には中段の棚があり、空間が上下に分かれています。この高さが中途半端で、市販の収納家具がそのまま入らないことがよくあります。
わが家では、前の住まいの押入れに合わせて買ったシェルフが、引っ越し先では中段の高さが違って入りませんでした。同じ団地でも、棟や年代によって中段の高さは違います。収納家具は、いま住んでいる押入れを測ってから選ぶ必要があります。
湿気がこもりやすい構造
襖を閉めきると空気が動きません。外壁に面した押入れは、冬に結露しやすい場所でもあります。
わが家では、押入れに入れていたカラーボックスの裏にカビが生えました。板が壁に密着して、空気の逃げ場がなかったためです。収納を考える前に、空気の通り道を作っておく必要があります。
押入れ収納で最初にやること

収納用品を買いに行くのは、いちばん最後です。先に買うと、サイズが合わずに無駄になります。わが家のシェルフがまさにそうでした。
最初にやるのはいま何がどれだけ入っているかを知ることだけ。ここを飛ばすと、場所を移し替えただけで終わってしまいます。順番に見ていきましょう。
中身を出す前の写真撮影
襖を開けて、まず写真を撮ります。作業前の状態を残しておくためです。
片づけは途中で必ず散らかります。そのとき写真があると、どこまで進んだかが分かって手が止まりません。終わったあとに見返すと、変化がはっきり見えて満足感もあります。
使う頻度による三つの仕分け
出したものは、いる・いらないではなく使う頻度で分けます。捨てる判断を先に迫られると、作業が止まってしまうためです。
- 毎週使うもの
- 季節ごとに使うもの
- 年に一度あるかどうかのもの

この3つに分けるだけで、どこに置くべきかが自然に決まります。迷ったものは、いったん保留の箱にまとめて構いません。
手前と奥に置くものの決め方
毎週使うものは手前、年に一度のものは奥。単純ですが、これが押入れ収納の骨格になります。
季節ごとに使うものは、衣替えのタイミングで手前と奥を入れ替えます。年2回動かす前提にしておくと、奥が固定化しません。
深い奥行きを活かす収納のコツ

ここが記事の中心です。奥行きが深いこと自体は欠点ではありません。使い方を変えれば、そのまま収納力になります。
考え方はひとつだけ。奥のものは歩いて取りに行くのではなく、引き出して手前に持ってくる。この発想に切り替えると、押入れは一気に使いやすくなります。

引き出せる収納への切り替え
奥に直接ものを置くのをやめて、引き出せる入れ物に入れます。奥にあっても、手前に引けば中身が見えるからです。
わが家で使っているのは、押入れの奥行きに合わせた引き出し式の収納ケースです。奥行き80cmを1つで使い切れるので、手前と奥に分ける必要がありません。ふつうの衣装ケースを並べると奥にすき間ができるので、押入れ用と書かれたものを選ぶと無駄が出ません。
▶ 同じタイプの押入れ用引き出しケース(奥行74cm・4個セット)を楽天で見る
キャスター付きのワゴンやラックを使う方法もよく紹介されています。わが家は引き出し式のケースにしましたが、本や家電のように重いものが多いなら、キャスターで丸ごと引き出せるほうが向いています。中身の重さで選んでください。
伸縮タイプのかける収納
上段は高さが余りがちです。わが家では、幅を伸び縮みさせられる、かけるタイプの収納を使っています。押入れの幅に合わせて調整できるので、穴を開けずに設置できます。
引っ越しで押入れの幅が変わっても、伸縮するので使い回せます。固定サイズの棚で失敗したあとに選んだのが、この伸縮タイプでした。軽いものだけを乗せるのが前提です。
▶ 同じタイプの押入れハンガー(幅・高さ伸縮・穴あけ不要)を楽天で見る
突っ張り棒を2本渡して板を乗せる方法も定番です。費用は伸縮タイプより安く済みます。わが家は幅の調整のしやすさを優先しましたが、まず試すなら突っ張り棒からでも十分です。どちらも壁に穴は開きません。
手前に残す通り道の確保
すべてを収納で埋めないことも大切です。手前に何も置かない列を残しておくと、奥のケースを引き出せます。
せっかく引き出せる収納にしても、手前がふさがっていれば動かせません。使える隙間を最初から計画に入れておきます。
団地の押入れで使える収納用品

ここからは実際に使うものの話です。すべて3,000円以内、壁に穴を開けずに使えるものだけを挙げます。
いきなり全部そろえる必要はありません。まずは1種類だけ試して、合えば買い足すのが失敗しないやり方です。
奥行きに合う収納ケース
押入れ用として売られている、奥行き80cm前後の引き出し式ケースが基本になります。手前と奥に分けず、1つで奥まで使えるためです。
買う前に必ず押入れの内寸を測ってください。幅と奥行きだけでなく、中段までの高さと、襖の開く幅も測っておくと、入らないという失敗を防げます。
カラーボックスよりシェルフ
カラーボックスは押入れには向きません。わが家では裏側にカビが生えて、シェルフに替えました。背板が壁に密着して、空気が動かなくなるためです。
シェルフは板が少なく、四方に空気が抜けます。中段の高さに合うものを選べば、上段・下段どちらでも使えます。ただし固定サイズなので、引っ越しの予定があるなら伸縮タイプのほうが安心です。
すのこと除湿剤
すのこは床に敷くだけでなく、壁側にも立てて置きます。わが家はこれで壁との間に隙間を作り、空気の通り道にしました。カビが出てから始めた対策ですが、それ以降は出ていません。
除湿剤は奥の壁側に置くのが基本です。湿気は動かない場所にたまるので、いちばん奥に置くと効きます。
▶ ドライペット コンパクト つめかえ用 3個入を楽天で見る
入りきらない荷物の預け先

ここまでやっても入りきらないことがあります。団地の押入れは、そもそも収納量に限りがあるためです。
そのときは、無理に詰め込むより外に出すほうが暮らしやすくなります。捨てる以外の選択肢も知っておくと、判断がラクになります。
使用頻度が年一回以下のもの
預ける候補になるのは、年に一度あるかどうかのものです。わが家の場合、子どもが小さいころに使っていたものと、自分の昔のものが奥から出てきました。どちらも捨てられないけれど、毎日は要らないものです。
これらを外に出すと、押入れの奥がまるごと空きます。毎週使うものだけが残るので、探し物の時間も減ります。
宅配収納という預け方
トランクルームまで運ぶ必要のない、箱に詰めて送るタイプのサービスがあります。車がなくても使えるのが利点です。
月額は箱1つあたり数百円から。倉庫まで取りに行かなくても、スマホから取り出しを頼めます。ひとりで大きな荷物を運べない場合の現実的な選択肢になります。
手放す前に考えること
預けるか手放すか迷ったら、いったん預けて構いません。決められないものを無理に捨てると、あとで後悔が残ります。
1年経っても一度も取り出さなかったものは、そのとき改めて考えれば十分です。判断を先送りできること自体が、預けるという方法の価値です。
団地の押入れ収納のよくある質問

最後に、押入れ収納でよく聞かれることをまとめます。作業の前に読んでおくと、途中で手が止まりません。
どれも実際に暮らしながらぶつかったことばかりです。同じところでつまずかずに済むはずです。
押入れ収納で今日からできること

団地の押入れが使いにくいのは、住んでいる人の問題ではありません。奥行きが深く、中段で分かれ、湿気がこもる。その作りに合わせた使い方をしていなかっただけです。わが家も、カラーボックスにカビが生えるまで気づきませんでした。
やることは引き出せるようにして、手前に通り道を残す。これだけです。収納用品は、押入れの内寸を測ってから選べば失敗しません。
- 使いにくさの原因は奥行きと中段と湿気
- 最初にやるのは写真撮影と頻度での仕分け
- 奥のものは引き出して手前に持ってくる
- 収納用品は内寸を測ってから購入
- カラーボックスよりシェルフとすのこ
- 入りきらないものは預けるという選択肢
まずは今週末、押入れの写真を1枚撮るところから始めてみてください。全部出す必要はありません。手前の一列を整えるだけでも、襖を開けたときの気持ちが変わります。
次の記事では、押入れの奥が使えないまま眠っているケースの直し方を、もう少し細かく取り上げます。


コメント